裁判関連 » 2007/05/25 意見陳述 保坂芳男

陳述書

2007年05月25日
保坂芳男

 私が二子玉川東地区再開発問題に関心を寄せるきっかけは、今から9年前の平成10年(1998)年5月で、それは不特定多数の人たちに配布された一枚のビラによるものでした。  そのビラには「莫大な費用がかかる大型開発を推進する一方で世田谷区は財政難を理由に高齢者のデイホーム利用料値上げなど福祉や教育、くらしの分野では予算を切りつめ、保育料などの公共料金の値上げをすすめています」とあり、「再開発計画の内容を知るための勉強会を開くので集まりましょう」という趣旨でした。  私はこの集まりに参加して、再開発の内容を知るに及んでまず思ったことは、世田谷区の財産とも言うべき自然環境豊かなこの地域に巨大ビルを林立させ、しかもそれに途方もない多額の税金を投入するという、しかも再開発地域の土地の85%は東急グループの所有地だという。これは地元住民、世田谷区民のための計画ではない、と思いました。  そこで、私は計画をすすめる準備組合に、より確かな説明を受ける必要があると思い、準備組合の事務所を訪ねました。事務所には数人の人がおりましたが、応対したのはK氏という人で、身分は東急社員で、再開発計画のために準備局に出向しているとのことでした。私は思いつくままに質問しました。K氏は初対面の私に何のためらいのなく、次のように答えました。

  1. 現在、行政のお墨付きをもらうべく努力中だ。
  2. 再開発計画の建物のパンフレットはいわば「見せ絵」でしかなく、準備組合に参加している人たちの合意を得たものではない。
  3. 補助金あってのこの事業、補助金がなければこの計画は成り立たない。道路の拡幅は世田谷区に責任を持ってもらうことになっている。いくらかかるか私たちには関係ない。
  4. 補助金をどの程度得られるのか。計画の明細が確定しない現在、見当がつかない。しかしこの計画は「都市再開発法」という法律に従って行う以上、公金の提供を受けるのは当然すぎるほど当然である。
  5. 「建物の保留床」を売ることによって建設資金を充当することになるが、保留床が売れないときは、この東急グループが主導で行う以上、東急が責任を持つことになる。
  6. 地域住民や区民から仮に疑問や反対の声があがっても、それはどこにでもあること、まったく意に介さない。自分たちの土地をどう活用するかは全く自由、他の人からとやかく言われる筋合いではない。
  7. 補助金を受けることに、ためらいはない。この計画はそもそも町の美観、防災、防火、そして街の活性化をめざす世田谷区の方針に協力するわけだから、公金は大いに投入してもらいたいと思っている。
  8. これまでに我々には補助金を受けるという恩恵にあずかったことがない。ようやく巡りきたこのチャンスを逃すわけにはいかない。それがたとえ税金であっても、世田谷区が金を出すというのだから、ありがたく受け取る。そのことが世田谷区の財政を圧迫することになったとしても自分たちの責任ではない。

 私はこの東急社員の企業エゴむき出しの言葉にあきれ、驚き、その日以降この計画を止めるために自分なりに何かをしなければと考え始めました。
 あれから9年、計画は動き出しました。再開発を進めるために駅前の商店街はほぼ仮設店舗に移動、なかにはやむなく廃業、転居という人も出ています。しかし、依然として再開発に反対するという人もいます。行政も再開発組合も法律の手続きによって進められているので、問題はない、と言っていますが、しかしこれは日本国憲法が定めている居住、職業選択の自由(22条)、国民の生存権(25条)、財産権(29条)を否定するものです。それはこの9年、東京都や世田谷区に数え切れないほどの足を運び、再開発地域を始め、周辺時遊民の方々との意見交換をすすめる中で得た確信とも言うべきものです。
 私たちは去る5月23日、先の地方選挙で選出された世田谷区議会議員52名の一人一人に、この再開発計画はみどりを破壊し、景観を損ね、公害を呼び込み、しかも多額の税金を投入する最悪の計画です、と訴えました。私たちのこれまでのねばり強い運動はついに区議会の中で多くの理解者を得るに至りました。再選を果たしたとはいえ、熊本区長もまた「今後の施策の重要課題として世田谷区内の3分の1をみどりにする環境施策の充実」と区長再任にあたって述べました。区長が真にそう考えるなら、まずこの二子玉川東地区再開発計画こそ、ただちにストップさせるべきでありましょう。
 以上、私の陳述と致します。

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