裁判関連 » 2008/05/12 弁護団声明

二子玉川東地区再開発事業差止訴訟判決に対する声明

2008年05月12日
二子玉川東地区再開発事業差止訴訟弁護団

  1. 2008年5月12日、東京地方裁判所民事13部は、 二子玉川東地区再開発事業について周辺住民(原告)らが再開発事業の差止を求めた請求に対し、 これを棄却する不当な判決を言い渡した。
  2. 本件訴訟において原告らは、
    【1】周辺住民が、再開発によって深刻かつ複合的な権利侵害を被ること、
    【2】本件再開発事業は、予定地の85%を所有する東急グループが世田谷区と密約を結んで私的利潤追求を最優先に推し進めようとしているもので、本件再開発自体が都市再開発法等に違反して違法であることを、二つ大きな柱として主張した。
  3. これに対し、判決は、【1】について、本件再開発によって交通量や鉄道利用者数が増加し、 交通の危険や騒音の増加、鉄道や駅の混雑度が増すこと、 本件再開発地域周辺で平成17年から19年にかけて5回にわたって周辺住民が実施した二酸化窒素測定において、 環境基準を超える数値が検出されたこと、本件再開発事業予定地の地形的特徴や高層ビル群による影響で、 より高濃度の汚染となるおそれがあること、原告らの本件地域の眺望による利益は法的保護に値すること、 本件再開発事業予定地周辺の「多摩川の流れとそのうえに広がる空、 丹沢や富士の眺めが一体となって形作る景観や自然」が、世田谷百景や地域風景資産に選定されていること、 圧迫感を客観的に測定する形態率において、測定した10地点中7地点で許容限界値である8%を超え、 特に原告金子宅では、35.46%にも及ぶこと等を認定した。
    しかし、判決は、受忍限度を超える不利益を生じることの立証がないとか、 原告らの健康に被害を及ぼす蓋然性を推認することができない等として、原告らの請求を退けた。
    さらに、【2】については、都市再開発法違反等の違法行為の主張は、 原告らの権利や法的利益に対する侵害を主張するものでないから主張自体失当であるとして、 判断そのものを避けるに至った。
  4. 本判決は、本件訴訟の本質である本件再開発を推進することの違法性について、 「主張自体失当」として判断を避けたため、紛争の本質を見誤ったばかりか、 再開発組合の行為が受忍限度を超えないとする根拠のひとつとして、 本件再開発事業に「公益性」が認められることをあげるものの、 まちづくり構想の一環として行われるものであるから「公益性」があるとするだけで、 「公益性」の具体的内容を全く吟味してはいない等、判決理由中には各所に事実認定の誤り、 理由不備、理由齟齬が見られ、説得力を欠く不当なものとなっている。
  5. 本件訴訟は、まちを一変させてしまう再開発の手続のなかで、 実効的な意見表明の手段を与えられてはいない周辺住民が、 自らのまちや権利を守るために立ち上がった訴訟である。
    二子玉川東地区再開発事業の違法性やこれによる権利侵害の重大性を明らかにして、 まちづくりを住民の手に取り戻すべく、既に控訴を決意した原告らととも力を尽くす所存である。

以上

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